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リンコ's ジャーナル

病院薬剤師をしています。日々の臨床疑問について調べたことをこちらで綴っていきます。

COPD治療薬もろもろ-3【抗菌薬の予防的投与】

これまではCOPD治療薬のうち吸入薬についてでしたが、これからは吸入薬以外の薬剤についてみていきます。

今回は抗菌薬の予防的投与から。改訂されたGOLDのガイドラインでは、グループDでの追加の考慮(禁煙者のみ)の記載があります。

 

ガイドラインの引用文献にはなっておりませんでしたが、コクランレビューがあったのでまずはそれから。

Prophylactic antibiotic therapy for chronic obstructive pulmonary disease (COPD).

(COPDに対する予防的抗菌薬療法)

Cochrane Database Syst Rev. 2013 Nov 28;(11):CD009764.

PMID:24288145

 

P:通常の治療を受けているCOPD患者

E:予防的抗菌薬の投与

C:プラセボ投与

O:増悪回数とQOLの改善

 

デザイン:RCTのメタ解析(7試験、3,170人)(5試験は予防的抗菌薬の継続投与、2試験は予防的抗菌薬のパルス療法)。研究期間は3か月から36か月。予防的抗菌薬の継続投与は全てマクロライドを使用。

1次アウトカム:Oに記載

2次アウトカム

・死亡(総死亡および呼吸器関連死亡)

・重篤な有害事象

(入院の頻度、増悪の期間、障害を受けた日、抗菌薬の耐性に関しては、メタ解析されておらず)

 

評価者バイアス:「 Data were extracted and analysed by two independent review authors.」との記載あり。

出版バイアス:「We conducted a search of ClinicalTrials.gov. All databases were searched from their inception to August 2013 and there were no restrictions on language of publication.」との記載あり。

元論文バイアス:RCTのメタ解析であり、全てITT解析がなされている。

異質性バイアス:全体的に異質性はあまり高くなさそうだが、継続投与とパルス療法は分けて考えた方がいいかもしれない。

 

結果

1次アウトカム((6か月から18か月における)1回以上の増悪患者の割合):OR 0.55; 95%CI:0.39-0.77(3試験(継続投与のみ)、1262人,高い質のエビデンス)(E群は55%、C群は69%の増悪があり、利益を得るために必要な治療数(NNTB)は8(95%CI:5-18)だった)

1次アウトカム(1年あたりの増悪の頻度):RR 0.73;95%CI:0.58-0.91(3試験(継続投与のみ)、参加者数は不明)

1次アウトカム(QOL):平均差(MD) -1.78; 95%CI(-2.95)-(-0.61)(2試験(1試験はパルス療法)、1962人、中等度の質)→臨床的に有意と言われている4点には届かず。

2次アウトカム

・総死亡:RR 0.89;(95%CI:0.67-1.19)(3試験(2試験はパルス療法)、2,891人)

・呼吸器関連死亡:RR 1.18;(95%CI:0.63-2.18)(2試験(1試験はパルス療法)、2,266人)

・重篤な有害事象:RR 0.88;(95%CI:0.73-1.07)(4試験(1試験はパルス療法)、2,411人)

 

感想

1回以上の増悪患者の割合のNNTB8というのは驚きました。かなり小さい数字のように思います。1年あたりの増悪の頻度も減少するようです。QOLに差は見られなかったようですが、増悪が減ることは大きいのではないかと思います。パルス療法が一緒にメタ解析されているのは、適当でない気がするのですが。ちなみに継続投与の抗菌薬は5試験中3試験でEM(投与量はバラバラ)、1試験でCAM、1試験でAZMでした。

で、気になる耐性菌についてですが、このレビューを見る限りではなんとも言えません。気になって色々調べてみましたが、結局よく分からず。。。ただマクロライド系の継続投与に関しては、マクロライド系に関する耐性菌は増えたが、他の系統の抗菌薬の耐性への影響は少なかったという報告が散見されました。マクロライドを必要とする疾患というのはそれほど多くはないと思いますし、耐性菌に関してはそれを考慮した上での使用であればよいのではないかと思います。

結果では取り上げませんでしたが、パルス療法は効果が期待できなさそうです。しかもキノロンなので、それこそ耐性菌の問題がありますので。

 

 

次。先述したように、GOLDガイドラインにおけるマクロライドの投与は禁煙者のみへの推奨となっております。主にそれについて、その根拠となっている文献をみていきます。

Azithromycin for prevention of exacerbations of COPD.

(COPD増悪予防に対するアジスロマイシン)

N Engl J Med. 2011 Aug 25;365(8):689-98.

PMID:21864166

 

P:増悪の増加するリスクはあるが、聴覚障害や安静時頻拍、補正QT間隔の延長の明らかなリスクのないCOPD患者(1142人)

E:250mg/日(1年間)のアジスロマイシンを服用(572人)

C:プラセボを服用(570人)

O:最初のCOPD急性増悪までの期間

 

デザイン:ランダム化比較試験(2重盲検かどうかは記載なし?)

ITT解析:されている

脱落率:E群 11%、C群 10%

 

結果

1次アウトカム

・最初のCOPD急性増悪までの期間:E群 266日(95%CI:227-313)、C群 174日(95%CI:143-215)(P<0.001)

・1年1患者あたりの急性増悪のハザード比:0.73(95%CI:0.63-0.84)。

・増悪の頻度:E群 1.48回/年、C群 1.83回/年(リスク比0.83;95%CI:0.72-0.95)。

・1回の急性増悪を予防するためのNNT:2.86

2次アウトカムとサブ解析(たくさんあるので、気になったものだけ)(Supplementary Appendixに記載あり)

・禁煙者:最初の増悪までの期間の(E群vsC群の)ハザード比 0.6くらい(有意差あり)

喫煙者:最初の増悪までの期間の(E群vsC群の)ハザード比 1.0くらい(有意差なし)

この2群の交互作用:P=0.012で有意差あり。

・GOLDⅡ:最初の増悪までの期間の(E群vsC群の)ハザード比 0.6くらい(有意差あり)

 GOLDⅢ:最初の増悪までの期間の(E群vsC群の)ハザード比 0.7くらい(有意差あり)

 GOLDⅣ:最初の増悪までの期間の(E群vsC群の)ハザード比 0.8くらい(有意差なし)

 GOLD Stage間の交互作用:P=0.164(有意差なし)

聴覚障害:E群 25%、C群 20%(P=0.04)

 

感想

1次アウトカムに関しては、今回は置いておいて…(最初の増悪までの期間が90日延長されるのは重要だと思いながら)。

喫煙状況に関しては、禁煙者の方が優位となっています。サブ解析なので、なんとも言えない部分もありますが、その傾向は見て取れました。ただ、COPDの治療の第一は禁煙ですし、喫煙者には抗菌薬を出す前に禁煙するように指導しましょうという事を表していると、個人的には思っています。あとは、このマクロライドの追加が検討されているのは、今回のGOLDガイドラインの分類のグレードDであり、この文献ではグレードⅣがそれに該当すると考えられますが、プラセボとの比較でグレードDでは少なくなる傾向はあったものの、有意差が付いていませんでした。それを考えるとどうかな?とも思います。

聴覚障害に関しては、1年間でプラセボ群でも20%というのは、多すぎるのではないかと感じます。なので、この結果はあまり信頼できないかな、と。Supplementary Appendixを見ると、最初の3か月でE群に多いようですが。

 

今回は以上です。

次は去痰薬、PDEⅢ阻害剤についてみていく予定です。