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リンコ's ジャーナル

病院薬剤師をしています。日々の臨床疑問について調べたことをこちらで綴っていきます。

COPD治療薬もろもろ-1【LABA/LAMA vs LABA/ICS】

今回はCOPDの薬物治療について取り上げていきます。先日、COPDの国際的な指針であるGOLDのガイドラインが6年ぶりに改訂されました。変更点については、日経メディカルのこちらに分かりやすくまとまっております。

当院にはLABA/LAMAの配合剤の採用がありません。このガイドラインを見る限りでは採用しないといけないなと思いつつ、ガイドラインに載っている文献を読んでみることにしました。

 

まずは、LABA/LAMAとLABA/ICSを比較した文献から(引用文献127)

Indacaterol-Glycopyrronium versus Salmeterol-Fluticasone for COPD.

(COPDにおけるインダカテロール/グリコピロニウム(ウルティブロ) vs サルメテロール/フルチカゾン(アドエア))

N Engl J Med. 2016 Jun 9;374(23):2222-34.

PMID:27181606

 

P:過去1年に最低1回のCOPD増悪歴のある患者3362人

E:1日1回のインダカテロール(110μg)+グリコピロニウム(50μg)群1680人

C:1日2回のサルメテロール(50μg)+フルチカゾン(500μg)群1682人

O:全てのCOPD増悪の年間発生率

 

デザイン:無作為化二重盲検、ダブルダミー、非劣性試験(52週)

1次アウトカム:Oに記載

2次アウトカム:27個もあるようなので、気になったものだけを結果に記載。

脱落率:18.5%(E群:18.3%、C群:18.6%)(Fig1より)

ノバルティスファーマ(当初、ウルティブロの製造販売をしていた)の資金提供有。

 

結果

1次アウトカム

・全てのCOPD増悪の年間発生率(per protocol):E群3.59% vs C群4.03%; RR 0.89(95%CI:0.83-0.96)(NNT:23)

・全てのCOPD増悪の年間発生率(modified ITT):E群3.59% vs C群4.09%; RR 0.88(98%CI:0.82-0.94)(NNT:20)

2次アウトカム

 ・初回の全ての増悪発生までの期間:71日vs 51日,HR 0.84(95%CI:0.78-0.91)

 ・中等度から重度のCOPD増悪の年間発生率:0.98% vs 1.19%;RR 0.83( 95%CI:0.75-0.91)(NNT:48)

 ・初回の中等度から重度のCOPD増悪発生までの期間:127日vs 87日,RR 0.78(95% CI:0.70-0.86)

 ・好酸球の数:両群で有意差なし。

 ・FEV1:E群に有意な改善あり

 ・SGRQスコア:E群vsC群で-1.8点。臨床的に意味のある4点以上下がった割合は、E群49.2% vs C群43.7%で、有意差があった。

 ・肺炎発生率:3.2% vs 4.8%(NNH:63)

 

感想

ノバルティスからの資金提供があったことは割り引いて考えないといけませんが、全体を通してLABA/ICSに有利な結果は見られませんでした。非劣性試験であることは考慮しないといけないとは思いますが、よほどのことがない限りLABA/LAMAを優先して使うべきなのではないかと思います。一つの試験だけでは何とも言えないところもありますが。あとはこれがクラスエフェクトなのかということですが。

 

次に、ガイドラインに載っていた同様の他の試験もみようと思ったのですが、いわゆる代用のアウトカムばかりだったので断念。

探していたら、メタ解析が見つかったので、次はそちらを。ただし、アブストラクトのみしか読めませんでした。

 

Long-acting muscarinic antagonist (LAMA) plus long-acting beta-agonist (LABA) versus LABA plus inhaled corticosteroid (ICS) for stable chronic obstructive pulmonary disease (COPD)

(安定したCOPDにおけるLABA/LAMAvsLABA/ICS)

Cochrane Database Syst Rev. 2017 Feb 10;2:CD012066.

PMID:28185242

 

P:最近増悪のない中等度から重度のCOPD患者(11試験、9839人)( 5試験:GOLDカテゴリーB、1試験:カテゴリーD、2試験:カテゴリーA,B、3試験:カテゴリーに関わらず参加者を募集した)

E:LABA/LAMA

C:LABA/ICS

O:増悪(1回以上増悪した患者の人数)、重篤な有害事象、SGRQスコアの変化、FEV1の変化

 

デザイン:平行群間RCT、クロスオーバー試験のメタ解析

2次アウトカム:肺炎発生率、総死亡、SGRQが4点以上改善した割合

リスクオブバイアス:全文読めていないので不明。

メタ解析に含まれた11試験中10試験で製薬メーカーからの資金提供あり(どちらの群かは不明だが、LABA/LAMA群か?)

 

結果

1次アウトカム

 ・増悪:OR 0.82 (95%CI:0.70- 0.96,I²=17%, 低い質のエビデンス)

 ・重篤な有害事象(SAE):OR 0.91(95%CI:0.79-1.05,I²=0, 中等度の質のエビデンス)

 ・SGRQスコアのベースラインからの変化:平均差(MD) -1.22 (95%CI:(-2.52)-0.07, I²=71%, 低い質のエビデンス)

 ・FEV1のベースラインからの変化:MD 0.08 L (95%CI:0.06-0.09, I²=50%,中等度の質のエビデンス)

2次アウトカム

 ・肺炎発生率:OR 0.57 (95%CI:0.42-0.79, I²=0%,低い質のエビデンス)

 ・総死亡:OR 1.01 (95%CI:0.61-1.67, I²=0%,低い質のエビデンス)

 ・SGRQスコアが4点以上改善した割合:OR 1.25 (95%CI:1.09- 1.44, I²=0%,中等度の質のエビデンス)

 

感想

これを見た限りでは、LABA/ICSをLABA/LAMAに優先して使う意義はなさそうです。製薬メーカーの資金提供がある試験が大半であること、参加者のベースラインのGOLDのカテゴリーが幅広くなっていることは考慮する必要がありそうです。異質性は低い解析が多いように思います。

あとはデバイスですね。特にうちの病院は高齢者が多いので。これが重要なんですよね。

 

 

次回はトリプルセラピーについてみていきます。