リンコ's ジャーナル

病院薬剤師をしています。日々の臨床疑問について調べたことをこちらで綴っていきます。

認知症のBPSDの治療薬もろもろ-5【抑肝散の有害事象】

前回は抑肝散の効果についての文献を読んでいきました。今回は、その抑肝散の有害事象についてみていきたいと思います。どうしても偽アルドステロン症による低K血症は気になります。 文献に入る前に、偽アルドステロン症に関する復習を。 ・重篤副作用管理マ…

認知症のBPSDの治療薬もろもろ-4【抑肝散】

今回は、BPSDにおける抑肝散の効果をみていきます。 よく使われていますが、個人的には効果をあまり実感できていません。漫然投与も多い気がしますし、副作用の低K血症も時々みますし。。。 そんなこんなで、個人的にはあまり好きな薬剤ではないのですが、そ…

COPD患者にカルベジロール?

COPDの急性増悪により入院になった方がいらっしゃいまして。心不全を合併していたのでβブロッカーとしてカルベジロールが使われておりました。カルベジロールは喘息に禁忌だけど、COPDへの影響はないのだろうか…と思い、調べてみました。 2つの文献をピック…

低血糖と認知症の双方向性-2

前回に引き続き、認知症と糖尿病の双方向性について見ていきます。 学会で知った文献は前回紹介した2つのみでした (ただメモを取り損ねただけだと思いますが…) ので、pubmedとgoogle scholarにて「dementia」「hypoglycemia」のワードで調べてみました。 い…

低血糖と認知症の双方向性-1

先日、第60回日本糖尿病学会年次学術集会に参加して参りまして。少し時間が経ってしまいましたが、シンポ等で紹介された文献を少しずつ読んでいこうと思います。 今回取り上げるのは低血糖と認知症の双方向の関連についてです。 まずは私のメモに残っていた…

ヘルスリテラシーもろもろ-1

最近、「ヘルスリテラシー」に興味を持ちまして。 まずは書籍等で概要を掴みたいと思いまして、色々勉強しました。意外と奥が深くてびっくりしました。ただ、日本ではまだまだ始まったばかりの分野のようで、自分にも何かできるのではないかと思いました。以…

PPIとVB12欠乏症

貧血にてVB12が漫然投与されている方がいらっしゃって、検査値は改善しているけど漫然投与されていたので中止依頼をかけようかな、という症例がありまして。ついでに他の薬剤も漫然投与されてないかなと思いながら処方を眺めていたら、PPIがずーっと投与され…

認知症のBPSDの治療薬もろもろ-3【不眠症に対するトラゾドン】

最近、認知症患者さんの眠前にトラゾドン(レスリン®、デジレル®)が処方されているのを時々目にします。色々調べてみると、不眠やせん妄の治療を目的に処方されることが多いようです。おそらくベンゾを避ける意味もあるのではないかと思います。 院内に採用が…

糖尿病の有名文献もろもろ-5【LIXIA,LEADER,セマグルチド関連】

今回はGLP1作動薬についての文献をみていきます。 まずはリキセナチド(リキスミア®)についての文献から。 Lixisenatide in Patients with Type 2 Diabetes and Acute Coronary Syndrome.(ELIXA) (2型糖尿病かつ急性冠動脈症候群患者へのリラグルチド) N Engl…

糖尿病の有名文献もろもろ-4【SAVOR-TIMI 53,TECOS,EMPA-REG OUTCOME】

今回はDPP4阻害剤とSGLT2阻害剤の有名な論文についてみていきます。 一応、全部目を通したことのある論文だったので、結果は知っていましたが。。。 まずはDPP4阻害剤から。一つ目はサキサグリプチン(オングリザ®)について。 Saxagliptin and cardiovascular…

COPD治療薬もろもろ-7【デバイス関連】

今回はデバイスに関する文献を。 まずは某メーカーの製品説明会で紹介された、吸入のアドヒアランスと死亡率の関連についての文献を。RCTのサブ解析ではありますが。 Adherence to inhaled therapy, mortality and hospital admission in COPD. (COPDにおけ…

COPD治療薬もろもろ-6【吸入薬のリスク(LAMA,LABA編)】

前回はICSのリスクについてみましたので、今回はLAMAの尿閉リスクとLABAの心血管イベントリスクをみていきます。 LAMA(というよりは、吸入抗コリン薬全体になりましたが)の尿閉リスクについては、知り合いにこちらのシステマテックレビュー(PMID:25083248)を…

COPD治療薬もろもろ-5【吸入薬のリスク(ICS編)】

今回は吸入薬にリスクについて考えていきます。 GOLDガイドラインを読むと、ICSのリスクは肺炎、骨折、糖尿病について記載されていました。また記載されておりませんでしたが、LAMAに関しては尿閉、LABAに関しては心血管イベントが気になります。 まずはICS…

COPD治療薬もろもろ-4【去痰剤およびPDE4阻害剤】

今回は、吸入薬以外のCOPD治療薬についての続きです。前回は抗菌薬の予防的投与を取り上げましたが、今日は去痰剤とPDE4阻害剤についてです。 いずれもコクランのシステマテックレビューをみていきます。 まずは去痰剤から。 Mucolytic agents versus placeb…

COPD治療薬もろもろ-3【抗菌薬の予防的投与】

これまではCOPD治療薬のうち吸入薬についてでしたが、これからは吸入薬以外の薬剤についてみていきます。 今回は抗菌薬の予防的投与から。改訂されたGOLDのガイドラインでは、グループDでの追加の考慮(禁煙者のみ)の記載があります。 ガイドラインの引用文献…

COPD治療薬もろもろ-2【トリプルセラピー】

先日改訂されたGOLDのグレードDにおけるLABA/LAMAへのICSの追加について考えてみたく、ガイドラインの引用文献より文献を検索しました。でも、あまりいいのがなかったです。。。 文献155 Tiotropium in combination with placebo, salmeterol, or fluticason…

COPD治療薬もろもろ-1【LABA/LAMA vs LABA/ICS】

今回はCOPDの薬物治療について取り上げていきます。先日、COPDの国際的な指針であるGOLDのガイドラインが6年ぶりに改訂されました。変更点については、日経メディカルのこちらに分かりやすくまとまっております。 当院にはLABA/LAMAの配合剤の採用がありませ…

風邪に抗菌薬もろもろ-2

前回の続きとして、「抗微生物薬適正使用の手引き (案)」の中から、今回は「急性咽頭炎」、「急性気管支炎」の文献3つを取り上げていきます。 文献82 Different antibiotic treatments for group A streptococcal pharyngitis.(全文フリーではありません) (A…

風邪に抗菌薬もろもろ-1

今回は風邪等への抗菌薬の投与について考えていきます。 平成28年4月に、「薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン」が策定され、様々な目標と戦略が打ち出されました。この中には医療機関における抗菌薬の適正使用の推進も盛り込まれておりました。その一つとし…

糖尿病の有名文献もろもろ-3【NIPPON DATA90,JMS Cohort Study,JPHC】

今回は薬を離れて、日本人を対象とした糖尿病の予後のリスクについてみていきます。どの文献をみればよいか分からなかったので、「おさえておきたい大規模トライアル | 糖尿病トライアルデータベース」から選びました。 HbA1c and the risks for all-cause a…

2/25(土)第4回居酒屋抄読会配信のご案内

2/25(土)の21時頃から、居酒屋抄読会を開催し、リアルタイムでツイキャスにて配信いたします。 今回は、梅田の居酒屋より配信予定です。 私は、ちょうど大阪で開催される学会に参加予定なので、そのついでに参加させていただきます(というよりは、私の予定に…

認知症のBPSDの治療薬もろもろ-2

今回は、前回に引き続き認知症のBPSD治療に用いる抗精神病薬の死亡リスクについての文献を読んでいきます。 前回紹介したもの以外の4つ、目ぼしいものを見つけたので、古い方から順に紹介していきます。 Risk of death in elderly users of conventional vs.…

認知症のBPSDの治療薬もろもろ-1

これからしばらくは認知症のBPSDの治療薬に関する文献と取り上げていきたいと思います。 BPSDに治療薬についての相談を受けることは多くあるのですが、それほど武器を持っておらず。少しでも幅を広げられたらな、と思いまして。 文献を読み進める前に、まず…

糖尿病の有名文献もろもろ-2【UKPDS33,34,35,80】

今回は、かの有名なUKDPSを読んでいく。恥ずかしながら、薬剤師10年目にして初めて読むという… UKPDSの中でも今回は、糖尿病に関連していて、内容に興味を持った33,34,35,80を読んだ。 Intensive blood-glucose control with sulphonylureas or insulin comp…

日本における2型糖尿病患者の低血糖による救急受診や入院もろもろ-1

今回は少し趣向を変えて。 低血糖による救急受診に関する報告を3報読み、考察をした。まだ他にも報告はあったが、少し古かったため今回はこの3報をピックアップした。 ① 糖尿病治療薬による重症低血糖を発症した2 型糖尿病患者135 人の解析(糖尿病55(11):…

糖尿病の有名文献もろもろ-1【VADT、ACCORD、ADVANCE】

糖尿病の勉強の手始めに、VADT、ADVANCE、ACCORDの3つの糖尿病の標準療法と強化療法の比較について検討された有名文献を読んでみた。 Glucose control and vascular complications in veterans with type 2 diabetes. 【VADT試験】 N Engl J Med. 2009 Jan 8…

ポリファーマシーもろもろ-5【これまでのまとめと今考えていること】

【これまでのまとめと今考えていること】 4回に分けてポリファーマシー(私としては、ポリファーマシー=「潜在的に不適切な薬剤の処方を含む可能性のある処方」と解釈している)に関する文献をみてきたが、大変悩ましい問題のように感じた。今回紹介してきた…

ポリファーマシーもろもろ-4【MRCIについて】

今回は、投与レジメンの複雑性を定量化するツールであるMRCI(Medication regimen complexity Index)についてと、それを使った研究についてみていきたいと思う。まずMRCIについてであるが、合計65項目からなり、セクションA:剤型、セクションB:投与頻度、セ…

ポリファーマシーもろもろ-3

これから2回はポリファーマシーに関する指標について取り上げていきたいと思う。まず今回は、転倒を増加させる可能性のある薬剤であるFRIDs(fall risk-increasing drugs)について、次回は、投与レジメンの複雑性を定量化するツールであるMRCI(Medication reg…

ポリファーマシーもろもろ-2

前回は、【ポリファーマシーと有害アウトカム】、【ポリファーマシーによる種々の影響】、【処方カスケード】について書いていきましたので、今回はその続きを。ただ、解析手法等々があまり理解できず断念した文献もあるので、文献が偏っている可能性が。。…

ポリファーマシーもろもろ-1

2016年は、何かポリファーマシーの正体を捉えるのに必死になっていました。様々な研究結果を学ぶことで、少しずつ分かってきた気がします。研究が次々に発表されてきておりますので、ここで一度、計4回に分けてまとめていきたいと思います。 【ポリファーマ…

SU剤もろもろ-1

私の勤める病院では、年に数例の低血糖による入院を経験する。そして、その多くでSU剤を内服している。先日も同様の入院が…。2013-2014年のアメリカの外来患者の薬剤有害事象(ADE)による救急部門受診についての報告では、1年に1000人当たり4.0人(95% CI, 3.1…

はじめに

北陸の片隅で病院薬剤師をしています。 日々の臨床疑問について調べたことをこちらで綴っていきたいと思います。 解釈等が誤っていることもありますので、その際はご指摘いただければ幸いです。