リンコ's ジャーナル

病院薬剤師をしています。日々の臨床疑問について調べたことをこちらで綴っていきます。

2/25(土)第4回居酒屋抄読会配信のご案内

2/25(土)の21時頃から、居酒屋抄読会を開催し、リアルタイムでツイキャスにて配信いたします。

今回は、梅田の居酒屋より配信予定です。

私は、ちょうど大阪で開催される学会に参加予定なので、そのついでに参加させていただきます(というよりは、私の予定に合わせていただいている形ですが)。

今回のお題は脱毛関連の論文となっております。

将来の脱毛が不安な方もそうでない方も、お時間がありましたらお聴きください♪

私は父も祖父もいわゆる〇ゲなので、とても不安です…何とか今のところ耐えておりますが…

 

詳細は、にいやん先生、zuratomo先生のブログをご覧ください。リンクを張っておきます。

 

認知症のBPSDの治療薬もろもろ-2

今回は、前回に引き続き認知症のBPSD治療に用いる抗精神病薬の死亡リスクについての文献を読んでいきます。

前回紹介したもの以外の4つ、目ぼしいものを見つけたので、古い方から順に紹介していきます。

 

Risk of death in elderly users of conventional vs. atypical antipsychotic medications. - PubMed - NCBI

N Engl J Med. 2005 Dec 1;353(22):2335-41.

PMID:16319382

 

P:ペンシルベニア州の65歳以上で、定型または非定型抗精神病薬を処方され始めた22,890人

E:非定型抗精神病薬群(9,142人)

C:定型抗精神病薬群(13,748人)

O:服用開始180日以内、40日未満、40-79日、80-180日の、非定型抗精神病薬群と比較しての定型抗精神病薬群の死亡率の相対危険度(RR)

 

デザイン:後ろ向きコホート研究

1次アウトカム:Oに記載

2次アウトカム:用量の違いによる死亡リスクの差、認知症の有無による死亡リスクの差、ナーシングホーム入居かどうかによる死亡リスクの差(明示はされていない)

傾向スコアマッチング:されていない。

交絡因子:調整されている(Table2の下に記載あり。)

 

結果

・180日以内の死亡率:非定型抗精神病薬群14.6%、定型抗精神病薬群17.9%

・ 抗精神病薬による治療開始後180日以内の死亡リスク(非定型vs定型)

f:id:gacharinco:20170212170006p:plain

 

感想

前回取り上げたRisk of death associated with the use of conventional versus atypical antipsychotic drugs among elderly patients.( N Engl J Med. 2005 Dec 1;353(22):2335-41.

PMID:16319382)と結果もデザインも非常によく似ています。定型抗精神病薬群よりも非定型抗精神病薬群の方の死亡リスクが高いこと、それは服用開始初期により差が認められること、認知症の有無、ナーシングホームに入居しているかどうかでその傾向は変わらない、というエビデンスが強化された印象です。こちらの論文の方が先ですけどね。

参加者の約半数が認知症であり、認知症患者群と非認知症患者群では、やや非認知症患者群の死亡リスクが高かったのが少し気になるところではありますが、認知症患者のみの解析でも非定型の方が安全なようです。

 

All-cause mortality associated with atypical and conventional antipsychotics among nursing home residents with dementia: a retrospective cohort study. - PubMed - NCBI

J Clin Psychiatry. 2009 Oct;70(10):1340-7.

PMID:19906339

 

P:アメリカの5つの州のナーシングホーム入居者における9,729人

E:3,205人の定型抗精神病薬の使用者

C:6,524人の新規の非定型抗精神病薬の使用患者

O:定型抗精神病薬新規使用患者の非定型抗精神病薬新規使用患者と比べての開始180日での死亡リスク(癌以外)

 

デザイン:後ろ向きコホート研究

1次アウトカム:Oに記載

2次アウトカム:リスペリドンを対照群とした、薬剤別の死亡リスク等(明示されていない)

傾向スコアマッチング:されていない。

交絡因子:調整されている。

 

結果

・1次アウトカム:調節後ハザード比, 1.26; 95% CI, 1.13-1.42

・その他(リスペリドン群と比較した、個別の薬剤の死亡リスク)

f:id:gacharinco:20170212170114p:plain

 

感想

今回は認知症のナーシングホーム入居者というある程度限定された患者群であった。

薬剤別では、定型抗精神病薬がいずれもリスペリドンと比べて、有意な死亡リスク増加、またはリスクの増加傾向を示した。

やはり、使うのであれば非定型抗精神病薬を優先すべきか。

 

Risk of mortality among individual antipsychotics in patients with dementia. - PubMed - NCBI

Am J Psychiatry. 2012 Jan;169(1):71-9.

PMID:22193526

 

P:抗精神病薬(リスペリドン、オランザピン、クエチアピン、ハロペリドール)またはバルプロ酸およびその誘導体(非抗精神病薬の比較として)にて、外来で治療が始まった65歳以上の認知症患者33,604人

E:オランザピン、クエチアピン、ハロペリドールバルプロ酸およびその誘導体

C:リスペリドン

O:リスペリドンを対照群としての個々の薬剤の治療開始180日の死亡のリスク比

 

研究デザイン:後ろ向きコホート研究

1次アウトカム:Oに記載

2次アウトカム:使用薬剤の用量のハロペリドール換算

傾向スコアマッチング:行われている。

交絡因子:調整されている。

 

結果

・個々の薬剤のリスペリドン群と比較しての死亡リスク比(propensity-weighted model、ITT解析)

オランザピン:ハザード比1.03,95%CI 0.92-1.16

クエチアピン:ハザード比0.74,95%CI 0.67-0.81

ハロペリドール:ハザード比1.57,95%CI 1.39-1.78

バルプロ酸およびその誘導体:ハザード比0.97,95%CI 0.83-1.14

f:id:gacharinco:20170212170256p:plain

 

感想

・他剤に比べてのハロペリドールの死亡リスクの高さが際立っている。逆にクエチアピンはより安全なよう。バルプロ酸抗精神病薬の代替薬と使用しても、死亡リスクに変化はなさそう。

・Table4の下表を見ると、ハロペリドールの用量が多くなっている。同程度の効果を得るには、より多くの用量が必要なのか?Table1を見る限り、特別に重症例に使われやすいということもなさそう。

 

Differential risk of death in older residents in nursing homes prescribed specific antipsychotic drugs: population based cohort study. - PubMed - NCBI

BMJ. 2012 Feb 23;344:e977.

PMID:22362541

 

P:ナーシングホームに入居している65歳以上の75,445人の新規の抗精神病薬(ハロペリドール、アリピプラゾール、オランザピン、クエチアピン、リスペリドン、ジプラシドン)使用者。

E:ハロペリドール、アリピプラゾール、オランザピン、クエチアピン、ジプラシドンの新規使用

C:リスペリドンの新規使用

O:個別の薬剤の使用開始180日間の(がんを除く)総死亡率の比較

 

研究デザイン:人口ベースのコホート研究

1次アウトカム:Oに記載

2次アウトカム:明示されていない。

傾向スコアマッチング:行われている。

交絡因子:調整したが、残存している交絡因子があるかもしれないとの記載あり。

 

結果

・個々の薬剤のリスペリドン群と比較しての死亡リスク比(傾向スコア調整後)

f:id:gacharinco:20170212170213p:plain

・治療開始後日数の影響

ハロペリドール:最初の40日未満(傾向スコア調整後のハザード比(aHR)2.34,2.11 - 2.60) 、40日から79日(aHR1.32 1.02 - 1.71) 、80日から180日(aHR1.46 (1.07 - 2.00)。

クエチアピン:aHR0.74 (0.66 - 0.82), aHR0.87 (0.75 - 1.01), aHR0.91 (0.79 - 1.05)

 

感想

クエチアピンの安全性(と言ったら言い過ぎのような気がしますが。どちらかというと、他の薬剤が高いというべきですかね。)とハロペリドールのリスクの高さが目立った印象です。投与初期のリスクが高いというのは、これまでの研究と同じですね。

用量との関係に関しては、Fig3,4に記載してありますが、クエチアピン以外は用量が多くなると、リスクが高くなるという結果となっております。

 

 

Antipsychotics, other psychotropics, and the risk of death in patients with dementia: number needed to harm. - PubMed - NCBI

JAMA Psychiatry. 2015 May;72(5):438-45.

PMID:25786075

この文献も読んでみたのですが、症例対象研究であり、私の解釈が難しかったので、今回は取り上げるのを止めました。

Table2のリスク差とNNHの計算が、自分の計算と合わなかったこともあり…

 

 

4つ見終わりましたが、もう少しお付き合いください。

昨年、日本におけるアルツハイマー病に対する抗精神病薬の死亡リスクの発表がありました。

 

Mortality risk in current and new antipsychotic Alzheimer's disease users: Large scale Japanese study. - PubMed - NCBI

Alzheimers Dement. 2016 Jul;12(7):823-30.

PMID:27106669

正直、アブストラクトに書いてある内容が薄くて、全文読めないので、中の紹介はしませんが…

詳細はm3.comで少し紹介されていますので、よろしければご覧ください。

https://www.m3.com/clinical/news/433047?pageFrom=tb&portalId=simpleRedirect

 

また、昨年「かかりつけ医のためのBPSDに対応する向精神薬使用ガイドライン(第2版)」が出ております。個人的にはあまり好きじゃないですが。ちょっとうさんくさい…

https://www.jpn-geriat-soc.or.jp/info/topics/pdf/20160418_01_01.pdf

 

さらに、米国精神医学会より「認知症患者に対する抗精神病薬使用に関するガイドライン」が昨年出ておりますので、そのリンクも貼っておきます。

APA Releases New Practice Guidelines on the Use of Antipsychotics in Patients with Dementia

m3.comには訳の記載があります↓

https://www.m3.com/clinical/news/425342

 

まとめ

いくつか文献を読んでみましたが、おおむね同じような結果でした。

・死亡リスク(分類別):定型抗精神病薬>非定型抗精神病薬>プラセボ

・死亡リスク(薬剤別):ハロペリドール>リスペリドン(=オランザピン)>クエチアピン

抗精神病薬は使用開始初期の方が、死亡リスクが高い(特にハロペリドール)。

ハロペリドール、リスペリドン、オランザピンは、用量依存的に死亡リスクが上昇するが、クエチアピンはそうではないかもしれない。

・交絡因子はまだ存在するかもしれない。

 

抗精神病薬の死亡リスクについてはよく理解できた気がします。

次は死亡以外のリスクについてみていきたいと思います。早く効果をみたいけど、それはもう少し後で。

認知症のBPSDの治療薬もろもろ-1

これからしばらくは認知症のBPSDの治療薬に関する文献と取り上げていきたいと思います。

BPSDに治療薬についての相談を受けることは多くあるのですが、それほど武器を持っておらず。少しでも幅を広げられたらな、と思いまして。

 

文献を読み進める前に、まずは周辺の知識を付けておきたいと思い、BPSDについて勉強しました。以下の文献がよくまとまっていると思います。

認知症のBPSD」(高橋 智)

https://www.jpn-geriat-soc.or.jp/publications/other/pdf/review_geriatrics_48_3_195.pdf

これをまとめたいところですが、ものすごく時間がかかりそうなので、今回は割愛いたします。

 

BPSDに対する抗精神病薬の使用についてはFDAより警告が出ていますので、まずはそれからみていきます。

どうやら2005年と2008年の2回出ているようですね。

エビリファイ(アリピルラゾール)のIFにこれらの概要がまとまっていましたので、よろしければご参考に。

f:id:gacharinco:20170210010010p:plain

 

ではまず、2005年のFDAの発表からみていきます。

Public Health Advisory: Deaths with Antipsychotics in Elderly Patients with Behavioral Disturbances(問題行動のある高齢患者の抗精神病薬による死亡)

http://www.fda.gov/drugs/drugsafety/postmarketdrugsafetyinformationforpatientsandproviders/ucm053171

<一部訳>

FDAは、非定型(第2世代)抗精神病薬による高齢認知症患者の問題行動の治療が死亡率の増加と関連することを決定づけた。オランザピン、アリピプラゾール、リスペリドン、クエチアピンによる、問題行動のある高齢者への合計17のプラセボ対象試験が実施され、15はプラセボ群と比べて薬物治療群における死亡率の数値的な増加を示した。これらの研究には5106人が登録され、いくつかの解析はこれらの研究による1.6-1.7倍の死亡率の増加を示唆した。これらの死亡の特定の原因の検討では、ほとんどが心臓関連イベント(心不全、突然死等)または感染症(大部分が肺炎)であることが明らかにされた。

 

この発表の元になった文献が見つかりませんでしたが、この発表に近い文献があったので、それを紹介します。

Risk of death with atypical antipsychotic drug treatment for dementia: meta-analysis of randomized placebo-controlled trials. - PubMed - NCBI

JAMA. 2005 Oct 19;294(15):1934-43.

PMID:16234500

P:認知症患者(アルツハイマー型、脳血管型、混合型、原発性)5,110人

E:非定型抗精神病薬(アリピプラゾール、クロザピン、オランザピン、クエチアピン、リスペリドン、ジプラシドン)の使用(3,353人)

C:プラセボ(1,757人)

O:プラセボ群と比較した非定型抗精神病薬群の死亡リスク比

 

1次アウトカム:プラセボ群と比較した非定型抗精神病薬群の死亡リスク比

1次アウトカムは明確か:明確。

2次アウトカム:・プラセボと各薬剤との死亡リスク比

        ・プラセボと各薬剤およびトータルの脱落率の差

評価者バイアス:「Data Extraction」に、「Trials, baseline characteristics, outcomes, all-cause dropouts, and deaths were extracted by one reviewer; treatment exposure was obtained or estimated.Data were checked by a second reviewer.」との記載があるので、OKか?

出版バイアス:MEDLINE,Cochraneから抽出。未公開のものも含まれている。言語は不明。

元論文バイアス:抗精神病薬プラセボに無作為に割り付けられたプラセボ対象試験でかつ、平行群間、二重盲検が条件となっている。

異質性バイアス:特に問題なさそう。

 

結果

・1次アウトカム:オッズ比1.54; 95%CI 1.06-2.23; P = 0.02; I²=0%、

          絶対リスク差0.01; 95% CI, 0.004-0.02; P = 0.01。

          死亡率:118 [3.5%] vs 40 [2.3%]

・2次アウトカム(脱落):全体としてのオッズ比1.07 (0.88-1.30, P=.009; I2=51.4%)(薬剤別では、アリピプラゾール群がプラセボ群に比べて脱落が多かった(オッズ比0.71 (0.52-0.96) I2 = 5.9% (P = 0.35))

・2次アウトカム(薬剤別の死亡リスク):

アリピプラゾール   オッズ比1.73 (0.70-4.30) I² = 17.2% (P = 0.30)

  オランザピン   オッズ比1.91 (0.79-4.59) I²= 0% (P =0 .85)

  クエチアピン       オッズ比1.67 (0.70-4.03) I² = 0% (P =0 .66)

  リスペリドン       オッズ比1.30 (0.76-2.23) I² = 0% (P = 0.45)

 

感想

・解析された文献は、「プラセボと16の抗精神病薬の対照群(アリピプラゾール(n=3)、オランザピン(n=5)、クエチアピン(n=3)、リスペリドン(n=5))を含む、一般的な期間が10-12週の15試験(9つが未公開)」であった。

・非定型抗精神病薬群の方がプラセボ群より死亡リスクが高かった。

・薬剤別のプラセボと比較した死亡リスクに有意差はなかったが、多い傾向にはあった。サンプル不足の可能性が高そうである。

・死亡の原因は不明

 

 

続いては、2008年の発表を。

FDA Requests Boxed Warnings on Older Class of Antipsychotic Drugs

(FDAは、抗精神病薬の古い分類にBoxed Warningを要求した。)

http://www.fda.gov/NewsEvents/Newsroom/PressAnnouncements/2008/ucm116912.htm

<一部訳>

FDAは本日、認知症高齢者の問題行動を治療するために定型抗精神病薬を適応外使用することと関連して死亡のリスクが増加することについて警告し、添付文書や表示の安全関連を変更することの製造業者への要求を、2007年の食品医薬品局改正法(FDAAA)に基づき行った。

両方の分類の薬剤への警告は、臨床研究によって、両方の分類の抗精神病薬認知症に関連した精神症状の治療のために高齢者に使用するとき、死亡リスクの増加と関連することが示されたことを意味する。

物忘れ、物覚えの悪さ、なじみの物体、音、人を認識できないという認知症に関連した症状の治療に、どちらの分類の抗精神病薬FDAは使用を認可していない。FDAは主に統合失調症に関連した症状の治療のためにこれらの薬剤を認可した。

最近、定型抗精神病薬にて治療された認知症の高齢患者の死亡リスクについて調べられた2つの観察的疫学研究が発表された。研究者は非定型抗精神病薬抗精神病薬非投与群や定型抗精神病薬使用群の使用との死亡リスクを比較した。

 

なお、この発表の対象となった抗精神病薬のうち日本で発売されているものは以下のとおりである。

定型抗精神病薬

プロクロルペラジン

ハロペリドール

・ピモジド

フルフェナジン

クロルプロマジン

ペルフェナジン

定型抗精神病薬

・アリピプラゾール

・クロザピン

・パリペリドン

・リスペリドン

・クエチアピン

・オランザピン

 

このFDAの発表の元になった2つの文献についてみていきます。

 

まずは1つ目。

Risk of death associated with the use of conventional versus atypical antipsychotic drugs among elderly patients. - PubMed - NCBI

CMAJ. 2007 Feb 27;176(5):627-32.

PMID:17325327

 

P:1996年1月から2004年12月までの間に抗精神病薬を使用し始めた患者37,241人

E:定型抗精神病薬を使用開始(12,882人)

C:非定型抗精神病薬を使用開始(24,359人)

O:両群間の180日での死亡率のハザード比

 

1次アウトカム:両群間の180日での死亡率のハザード比

2次アウトカム:明確な記載はなさそうだが、Table3に記載されているものが2次アウトカムと受け取れる。

交絡因子:調整されている。

 

結果

抗精神病薬による治療開始後180日以内の死亡リスク(非定型vs定型)

f:id:gacharinco:20170210003922p:plain

・その他:ハロペリドール群(vs非定型群)-ハザード比2.14, 95% CI 1.86-2.45(一番高かった) 

     ロキサピン群(vs非定型群)-ハザード比1.67, 95% CI 1.50-1.86(一番低かった)

 

感想

・1次アウトカムでは、非定型抗精神病薬に比べて、定型抗精神病薬でのリスクの高さが明らかとなった。

・治療開始後早い時期の方が、リスク比が大きかった。

・全ての薬剤についての比較を見たかったのだが、ハロペリドールとロキサピンのみしか記載されていない。ただ、一番低いロキサピンでもリスク比が1.67であり、非定型抗精神病薬に比べ、定型抗精神病薬のリスクがかなり高そうである。

 

2つ目

Antipsychotic drug use and mortality in older adults with dementia. - PubMed - NCBI

Ann Intern Med. 2007 Jun 5;146(11):775-86.

PMID:17548409

 

P:カナダのオンタリオ州の高齢認知症患者27,259組

E:①非定型抗精神病薬使用(地域住民9,100組、長期介護4,036組)

  ②定型抗精神病薬使用(地域住民6,888組、長期介護7,235組)

C:①抗精神病薬非投与

  ②非定型抗精神病薬使用

O:30,60,120,180日後の死亡リスクのハザード比

 

・1次アウトカム:抗精神病薬投与開始30,60,120,180日の非投与群との死亡リスクのハザード比

・2次アウトカム:非定型抗精神病薬と定型抗精神病薬との死亡リスクのハザード比

         上記2つのアウトカムについて、2つの居住環境(地域住民及び長期介護)の死亡リスクのハザード比

・交絡因子:調整されている。

 

結果

f:id:gacharinco:20170210004137p:plain

・それぞれ2つの居住環境の死亡リスクのみしか記載されておらず、合計でのリスクは不明(計算すれば分かるかもしれないが)。 

 

感想

・脱落がかなり多い(定型>非定型>非投与)。これをどう捉えればいいのか…

・ただ、そのように症例が少ない中でもしっかりと有意差が出ている。

・地域でも長期ケアでも、どちらも差が出ており、このリスクは環境には依らないということが分かった。

・投与開始後短期間の方がハザード比の高い群間もあったが、そうでない群間もあり、投与期間による死亡率の差は不明確である。

 

 

全体を通して

かなり明確に死亡リスクについての差が出ていたように思います。FDAの警告については、内容を薄っすらとしか把握していなかったので、その重要性がよく理解できました。このリスクについてはしっかり把握しておかなければならないと感じました。

 

同様の報告がいくつかあり、そちらの報告の方がより詳細に書かれているものもありましたので、次回はそれらの文献を取り上げていきたいと思います。